バッティングのインパクトの正しい考え方

どうも、身体を作り替えたらホームランを量産できるようになった、ふたがみです。

 

バッティング動作では、バットとボールがぶつかるインパクトという局面がありますよね。

この局面で上手く力を伝えられると、ヒットやホームランが出やすくなります。

 

ところが、ネット上にはインパクトに関するおかしな情報があふれています。

 

フォロワー数万人のインスタグラムアカウント、登録者数万人のYoutubeチャンネルであっても、それが正しい情報を発信しているとは限りません。

 

そのことに気づかないまま参考にしてしまい、無駄な時間を過ごしてしまう野球選手の多いこと…。

 

今回は、フリーランストレーナーとして活動し、これまで500人以上の動作改善実績のあるバッティングのインパクトについて解説していきます。

 

 

 

「当たる瞬間に押し込む」は物理的には不可能

「インパクト後に押し込め」などと指導された経験はありませんか?

物理的な観点から見ると、インパクト後に押し込むことは不可能です。

 

なぜなら、硬式ボールを打つ時、ボールとバットが接着している時間はわずか「0.5ms」、つまり0.0005秒しか無いから。

 

硬式野球のボールは、145グラム。ボールとバットの衝突時間は0.5~2.0msという短い時間です。130㎞/hのスピードボールを30m/sのスイングスピードで0.9kgのバットで打てば、打球速度は44m/sになります。このときバットがボールに加えた力積は11.6Nsであり、1msの衝突時間内に作用した力の平均は、11.600Nsですが、腕で加えるのは100Nとわずかです。

高校野球ドットコム「バッティングのボールインパクトのバットのヘッド速度を上げるメカニズム(1)」より

 

バットにボールが当たったことを脳が認識して押し込もうと思った時には、とっくにボールはバットから離れてしまっています。

(感覚器官で刺激を受け取ってから運動を行うとした場合、刺激を受けてから0.1秒以内に動くことは人間には出来ないとされる)

 

ですので、打った後に意識的に押し込むことは、物理的には出来ないのです。

 

 

国際的な陸上競技では、スタート合図から0.1秒以内に身体が動いてしまうとフライングと判定されますが、これも人間の反応速度の限界を前提に設定されたルールです。

 

手首を返さないように打ちなさい、の危険性

ボールに対して良い軌道でバットを入れられず、いわゆるコネてしまう選手がいます。

こういった選手に対して「手首を返さないように打ちなさい」という指導を行う場面を目にしますが、これは危険です。

 

なぜなら、起きている現象を直しても、根本原因を解消できるわけでは無いからです。

 

例えば、ヘッドが早く返り始めてしまうスイング動作の原因として、脊柱を中心に左右の腕を入れ替える胸椎の回旋動作が悪くなっていることが考えられます

(胸椎の回旋に関与する筋肉の柔軟性不足などに起因する)

 

胸椎の回旋動作が悪くなることによって、引き出されるボトムハンドによるスイングのリードが上手く働かなくなる。

結果として、トップハンド優位のスイング動作になり、ヘッドを早期に返してしまうのです。

 

ですので、このケースにおいて選手の手首のコネを改善するには胸椎の回旋可動域を向上させて、ボトムハンドによるリードがスイング初期から十分に働くようにすることが最優先になります。

 

手首を返すな!という意識づけだけでは、回転運動の改善もボトムハンドのリードの改善も良くならないので、仮に見た目の上ではヘッドが返らないようになったとしてもパフォーマンスのアップには繋がりにくいでしょう。

 

 

バッティングでの理想的なインパクトとは

理想的なインパクトと書きましたが、実は非常に曖昧な表現です。

理想とされるインパクトの形があったとしても、それを見た目だけ真似しようとしたら意味がありません。

 

マンツーマンでしたら話は別ですが、このような不特定多数の方が見に来るメディアで形について語るのはリスクが多いため、深くは踏み込みません。

 

ですが、何も書かないのも良くないので、僕のホームラン動画をご覧ください(笑)

 

 

注意しなければならないのは、本人の感覚と実際に起きている現象は必ずしも一致しないということ。

本人は「上から叩く感覚」と言っていても、横から見たらアッパー軌道になってるなんてことはしばしばあります。

 

ですので、プロ野球選手が言った言葉を鵜呑みにして、マネしようとしても上手くいくとは限らないわけです。

ちなみに、先程の僕のバッティングですが、感覚的な面と実際に起きていることは以下のような感じ。

 

感覚的な面:

腕の意識はほぼゼロ、体幹に意識を持ち、体重移動をすることでバットが走って出てくる。

 

現実で起きていること:

投球の軌道に対して、ボールの中心のやや下をアッパー軌道で捉えている。腕を上手くたたんで、フォロースルーも大きくしている。

 

 

ちなみに、もっとも飛距離が出やすいとされるのが19°アッパーでボールの中心の6ミリ下を打つこととされます。

 

 

理想的なインパクトを作るためにやるべきこと

プロ野球選手のフォームを参考にするのは構いません。

ですが、ただ形を真似するだけでは不十分です。

 

不良動作を引き起こしている原因がコンディショニングの悪さによるものだった場合、その原因を取り除かなければ、どれだけ反復練習をしても変わらず、時間をドブに捨てることになりかねません。

 

ですので、一人一人の動き、身体の状態を見て、その人にとって最適なトレーニングを実施していく必要があります。

とはいえ、全ての人が優れたトレーナーに見てもらえるわけではないので、最低でも以下の項目は観察しましょう。

 

柔軟性

バッティングにおいて柔軟性は必要です。

なぜなら「手首を返さないように打ちなさい、の危険性」の中でも述べたように、柔軟性不足は不良動作に繋がりやすいから。

 

例えば、胸を左右にひねる動き(胸椎の回旋)の可動域が低下すると、回旋動作によって作られるスイング軌道も小さくなったりします。

 

結果、トップハンドがボトムハンドを早くに追い越してしまうコネ動作にも繋がっていくわけです。

ですので、腰部を固定した上で胸が左右それぞれにどれくらい回るのか?股関節の内外旋の可動域はどうか?といったところも見ていく必要があります。

 

筋力

筋力も大事です。

特に重要なのは、体幹。

 

柔軟性と両立していることが条件ですが、体幹主導で無ければ理想的なインパクトは作れません。

とはいえ、少年野球選手がプロ野球選手のような筋力を手に入れられるわけではありませんよね。

 

そこで、重要なのが全身のバランスを見ることです。

 

あくまで例ですが、体幹主導で動けているか?大腿四頭筋優位で動いていないか?といったところを確認し、上手くスイング出来ない原因を探して行きます。

 

一度、悪い癖がついてしまうと修正するのが大変だったりしますが、この原因を解消してあげるだけでいくら練習させても改善が見られなかった子が、大きく変わることもあります。

 

ちなみに、体幹主導ができている選手は脚を閉じても振れます。

 

逆に、腕力に頼っているとこんな感じになります。

 

 

大人になるほど矯正は大変になりますが、トレーニングを行うことで力の伝え方が変わるので、次第にできるようになっていきます。

ぜひ、足閉じスイングはお試しください。

 

 

動作改善

野球の指導の現場では、見た目の現象ばかりに囚われて根本的な原因がほったらかしになっているケースが多いです。

これでは、残念ながら本質的な動作改善やパフォーマンスアップには繋がりません。

 

いわゆるセンスのいい選手は、身体操作が優れています。

彼らが野球だけじゃなく、そのほかの競技をやらせても上手くこなせるようになるのは、そもそも身体が整っているからです。

 

もし、今あなたが野球が上達せず悩んでいるのであれば、優先順位を見直してみる必要があるのかもしれません。

 

二神幹アスリート研究所では、野球選手のパフォーマンスアップのお手伝いをしています。

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